2022年02月20日

小学生のスポーツ活動、母親の負担が大きい構造変わらず 笹川スポーツ財団調査研究報告

笹川スポーツ財団は、2017年2月(2016年度)に実施した第1回調査に引き続き、2021年9月(2021年度)に、小学校1年生~6年生の第1子をもつ母親を対象とし、子どものスポーツ活動に対する保護者の関与の実態や意識を明らかにする調査を実施した。

調査結果では、子どものスポーツ活動(クラブ・教室等の団体に所属して行う活動)へは母親中心に関与している実態など、前回調査から大きな変化がないことが分かった。また新たに、母親自身が子どもの頃からスポーツ活動における保護者の役割では、現在と同様に係や当番を担っていたのは母親が中心であったことも明らかとなった。

▼公式サイト
https://www.ssf.or.jp/thinktank/children_youth/2021_report1.html

調査結果のポイント

1. 子どものスポーツ活動への母親の負担感は、団体全体に関わる活動の負担が大きい
母親が負担が大きいと感じるもの(上位3つ)
・「指導者や保護者の送迎をする」 66.7%
・「練習や大会等で、指導者・保護者の食事や飲み物を用意する」 64.4%
・「大会等で、保護者や関係者が観戦する場所を確保する」 62.0%

2. 子どものスポーツ活動への母親・父親の関与は、依然として母親中心の構造
母親と父親の関与で差が大きいもの(上位3つ)
・「ユニフォームや練習着の洗濯」 母親:84.4% > 父親:21.2% → 63.3ポイント差
・「子どものスポーツ用具購入」  母親:72.8% > 父親:32.1% → 40.7ポイント差
・「子どもの送迎」        母親:89.2% > 父親:56.4% → 32.8ポイント差

3. 母親自身が子どもの頃から、保護者の役割は母親が中心という構造

■研究担当者コメント
(笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 シニア政策オフィサー 宮本幸子氏)

求められるのは、スポーツ活動のあり方

前回調査からの5年間、特に2020年以降はコロナ禍で子どものスポーツ機会そのものが危機にさらされ、活動内容も変化した。しかし、子どものスポーツにおける保護者の関与という観点では、今回の調査結果は予想以上に「変化がない」ことが発見であった。「練習の指導」などの一部の項目を除き、家庭内でのサポート、団体内でのサポート、いずれも母親中心の関与が続き、しかもそれらは祖父母世代から続いている可能性が示唆された。

また、今回調査では新たに団体の中心的な保護者、いわゆる「役員」が担うような関与についても尋ねた。具体的には指導者・保護者のサポートや会計管理など、ごく一部の保護者のみが関わる内容であるが、それらの負担感の高さが浮き彫りとなった。

子どものスポーツを母親が中心となって支え、負担感が生じる事態は、社会全体のジェンダー構造を反映した問題でもあり、特効薬のような解決策は見出しがたい。ただし、当番制や活動時間・試合への参加方法を見直すなど、スポーツ活動のあり方で解決できる部分もある。ひとつひとつの積み重ねによって、子どもも保護者もスポーツを楽しむことのできる社会につながることを望みたい。

調査結果の詳細は公式サイトより
https://www.ssf.or.jp/thinktank/children_youth/2021_report1.html

   

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